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【許可】経営業務管理責任者要件(規則7条1号イ)の準ずる地位関係その3

皆様こんにちは!

最近非常に相談が多くなっている経営業務管理責任者要件のうち、応用事例である「準ずる地位」関係を解説していますが、今日は解説最終回ということで、「準ずる地位」の実務上の問題点を見ていきましょう。

1.おさらい

先週、先々週の記事において、準ずる地位のポイントを記載しました。

【許可】経営業務管理責任者要件(規則7条1号イ)の準ずる地位関係その1

【許可】経営業務管理責任者要件(規則7条1号イ)の準ずる地位関係その2

こちらを先にお読みいただければと思います。

ということで、準ずる地位は、建設業法の中に3つあって、

①イ本文の「役員等」に隠れている「準ずる者」

②イ(2)の「準ずる地位」

③イ(3)の「準ずる地位」

でして、①が申請時・経管変更届出時の地位、②③が過去5年もしくは6年経験時の地位ということでしたね。

こちらを再度ご確認ください。

2.実務上の具体例

さて、皆様が、経営業務管理責任者要件を満たすように証明する際にどのような組み合わせパターンがあるかというと、

申請(届出)時現在の地位経験時の地位(過去経験)
取締役取締役
取締役令3条使用人(建設業許可で届け出ている営業所の契約締結権者)
取締役執行役員or補佐者
執行役員or補佐者取締役(他社での経験が多い)
執行役員or補佐者令3条使用人(建設業許可で届け出ている営業所の契約締結権者)
執行役員or補佐者執行役員or補佐者

この6パターンのいずれかになることがほとんどと思います。

そして①と②は、準ずる地位を使わない、建設業法施行規則7条1号イ(1)なので、特に問題はありません。

③も過去経験における地位が「準ずる地位」であることを証明できさえすれば、さほど問題はありません。

④と⑤も、現在地位として「準ずる者」の要件を満たしていることを証明できさえすれば、問題ありません。

問題は⑥です。

⑥のように過去経験も現在地位も「執行役員or補佐者」という「準ずる地位」という場合は、仮にその証明ができて認められたとしても大きな落とし穴があることに注意を払わなければなりません。

3.大きな落とし穴~次の経管どうする??問題~

この大きな落とし穴について掘り下げてみましょう。一つ例を設定します。

このような架空の組織図があり、取締役会の直下にある「執行役員兼営業本部長」というポストが、組織図や業務分掌規程等を確認して「準ずる者」・「準ずる地位」の要件を満たしていると仮定しましょう。

そうするとこの「執行役員兼営業本部長」で5年間経験し、「執行役員兼営業本部長」このポストのまま経管になるということですね。 要件を満たせばこのような形でも問題なく経管になれます。上の表の⑥のパターンです。

ところがです。ここが落とし穴。

先週も書きましたが、「準ずる地位」・「準ずる者」は、定義上、「建設業に関する事業の一部のみ」ではダメで、建設業全般の執行権限があることが求められます。

この趣旨は、経営業務管理責任者はその定義上、「対外的に責任を負える地位」(建設業許可事務ガイドライン)が必要ですが、要件を難なく満たせる「取締役」のように登記上に氏名が公開されていればともかく、執行役員は「対外的に責任を負える」という点がどうしても弱くなりがちで、だからこそ、建設業全般の執行権限を移譲されている必要があるからです。

そして、この建設業全般の権限を委譲されている社員というのは、物理的に考えて社内の役職においても最大で1人しか該当することができず、2人以上いるとなるとそもそも建設業全般の権限移譲がされていないよね、という、なかなかロジカルな矛盾に陥ってしまいます。

そしてこの建設業全般の権限を委譲されているたった一人の「執行役員兼営業本部長」は、自らが取締役にでも出世しない限り、このポストが空かず、このポストが空かないということは、永遠に準ずる地位で5年の経験を有する者が育たないということになります。

多くの会社において、取締役5年を経験して、取締役の地位に現在いる方に経営業務管理責任者になっていただきたいところ、それが難しいから執行役員要件での検討を進めているわけです。前述した「自らが取締役にでも出世しない限り」というところも、おそらく現実的でない会社が多いのではないでしょうか。

結局のところ、この「準ずる者」・「準ずる地位」要件は、経管要件において担い手不足の建設業界を救済するための緩和措置で経営者の後継者を育てる趣旨で始まった制度なのに、「社内において後継者が育たない」という、何とも皮肉でロジカルな問題に直面していることがわかると思います。

多くの方がこの矛盾に気づかないでいらっしゃるかもしれません。

これを機に、自分の会社は大丈夫か考えてみてください。

ご不明点があれば、弊社にご連絡ください。