経営業務管理責任者【規則7条1号イ(1)該当】の確認資料
特に、建設業許可の新規申請、許可換え新規申請、経営業務管理責任者の変更で多くの問い合わせのある経営業務管理責任者【規則7条1号イ(1)該当】の確認資料について、考え方をまとめました。
経営業務管理責任者要件は、許可が取れるかどうかについての「一番の肝」ですので、慎重な準備が必要です。
1.法令の様子
建設業法7条1号
建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること。
建設業法施行規則7条
法第七条第一号の国土交通省令で定める基準は、次のとおりとする。
1号 次のいずれかに該当するものであること。
イ 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。
(1)建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
2.法令の分解
では、法令を分解して考えてみましょう。
★「常勤役員等」
法人・・・その役員のうち常勤であるもの
個人・・・その者又はその支配人のうち常勤であるもの
※「常勤」と「役員」については、次をご確認ください。
★「常勤」
原則として本社、本店等において休日その他勤務を要しない日を除き一定の計画のもとに毎日所定の時間中、その職務に従事している者
※本社、本店等での毎日通勤が原則です。
【確認資料】 給与支払事実と距離の2方面から確認します。
①申請者から一定額の給与を支払われていることの確認
法人申請・・・健康保険被保険者証(所属事業者に申請会社名が印字されていること)
個人申請・・・直近の確定申告書や所得証明書(原則、副収入がないこと)
②地理的・物理的に申請者へ通勤できることの確認
健康保険被保険者証の裏面(住所記入)
※概ね片道1時間半以上かかる距離だと、ETC.履歴や定期券が必要となります。
★「役員等」
業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者
・業務を執行する社員・・・持分会社の業務を執行する社員
・取締役・・・株式会社の取締役
・執行役・・・指名委員会等設置会社の執行役
・これらに準ずる者・・・法人格のある各種組合等の理事等をいい、執行役員、監査役、会計参与、監事及び事務局長等は原則として含まないが、業務を執行する社員、取締役又は執行役に準ずる地位にあって、建設業の経営業務の執行に関し、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限委譲を受けた執行役員等(建設業に関する事業の一部のみ分掌する事業部門(一部の営業分野のみを分掌する場合や資金・資材調達のみを分掌する場合等)の業務執行に係る権限移譲を受けた執行役員等を除く。以下同じ。)
※多くのケースは、取締役を指します。
【確認資料】 申請日現在、役員等であることを確認します。
履歴事項全部証明書(取締役として現在、登記に記載があること)
★「一人」
経営業務管理責任者は一人のみです。
※この一人を、誰に選択するかが、今後の営業戦略を左右します。
例えば現場専任が義務づけられる配置技術者との兼ね合いです。
★「建設業に関し」
全ての建設業の種類をいい、業種ごとの区別をしません。
※例えば大工工事業の許可を取得しようとする場合、大工のみならず、内装や管などの別の業種でも構いません。
★「経営業務の管理責任者としての経験」
業務を執行する社員、取締役、執行役若しくは法人格のある各種組合等の理事等、個人の事業主又は支配人その他支店長、営業所長等営業取引上対外的に責任を有する地位にあって、経営業務の執行等建設業の経営業務について総合的に管理した経験
「役員」(多くは取締役)が、過去に
A 営業取引上対外的に責任を有する地位経験
B 経営業務の執行等建設業の経営業務について総合的に管理した経験
の2つの経験があることが必要です。
【確認資料】 過去5年の地位と建設業経験の2方面から確認します。
A 営業取引上対外的に責任を有する地位経験
履歴事項全部証明書、閉鎖事全部証明書(過去に5年間以上取締役にいたこと)
B 経営業務の執行等建設業の経営業務について総合的に管理した経験
〇5年いた会社が建設業無許可業者の場合
工事の請負契約書、注文書+請書、請求書+通帳 5年分(60ヶ月分)どの業種でも可
〇5年いた会社が建設業許可業者の場合
当時の建設業許可証、許可申請書、事業年度終了報告5年分 どの業種でも可
※取締役に5年以上就任し、取締役だった会社で建設業の経験(許可をうけた事実か工事実績)が5年あることが必要です。
★「五年以上」
上記の「経営業務の管理責任者としての経験」が5年(60ヶ月)以上あることが必要です。
3.わかりやすくまとめると・・・
建設業許可の要件である、経営業務管理責任者【規則7条1号イ(1)該当】になるには、以下の通りです。
法人の場合
①現在、申請する会社の取締役になっていること・・・履歴事項全部証明書で確認
②申請する会社に常勤していること・・・健康保険被保険者証の表裏で確認
③申請する会社もしくはそれ以外の会社で、5年以上取締役であること・・・履歴事項全部証明書・閉鎖事項全部証明書で確認
④申請する会社もしくはそれ以外の会社で、60ヶ月以上建設業の経験があること・・・許可証か契約書等で確認
個人の場合
①現在、個人事業主であること・・・直近の確定申告書で確認
②常勤していること・・・直近の確定申告書で副収入がないこと
③個人事業主経験が5年以上あること・・・確定申告書等で確認
④個人事業主として、60ヶ月以上建設業の経験があること・・・契約書等で確認
特に60ヶ月以上の建設業経験は、埼玉県をはじめ、多くの自治体が
1ヶ月1件ペース、通算60件以上の工事の請負契約書、注文書+請書、請求書+通帳を求めますので、これらの資料が揃うか今一度確認してみてください。
許可を取りたいけど、何を準備すればいいのかわからない、手元の資料や今の条件で許可が取れるのか不安・・・といった方は、ぜひ建設業専門の当事務所へご相談ください。