【経審】工事経歴書の注意事項
経審を行う場合、行わない場合とでは工事経歴書の記載も大きく変わってきます。
経審を行わない場合、工事経歴書は主な完成工事について元請・下請関係なく、請負金額の大きい順に記載していきます。経審を行う場合は、税抜で作成し、まず元請工事から記載していきます。
工事経歴書の記入方法の詳細についてはこちらをご確認ください。
https://www.pref.saitama.lg.jp/a1002/documents/keishintebiki010606.pdf
(埼玉県 経営事項審査申請の手引き 令和元年6月版 P38~41)
また経審を行う場合、工事経歴書に記載した工事の裏付資料として契約書や注文書等を提示します。
(東京都の場合は記載順に上から5件、埼玉県の場合は請負金額の大きい順に上位5件)
ですから、工事経歴書を作成する際は、その元となる契約書等の精査が重要になります。
よくある事例として、以下のような点に注意が必要です!
★事例1★ 契約書の工事件名だけでは工事の種類が不明
工事件名のみでは、どの工事の種類に該当するのか分からない場合は、
工事の内訳書や見積書等の具体的な工事内容が確認できる追加資料が必要です。
裏付けとなる追加資料がない場合、計上が認められない場合があります。
★事例2★ 請求書と入金記録が一致しない
請求書と入金記録の組み合わせは、契約書や注文書・請書と比較して、契約当事者双方の押印が確認できない為、信頼性が下がります。
よって、請求書と入金記録を裏付け資料とする場合、請求書と入金記録の金額が一致していない際は注意が必要です。他の工事と相殺して入金があった場合や、値引きが発生した等、その理由を明らかにする必要があります。
★事例3★ 工期が審査基準日を超えている(審査基準日時点で完成していない)
審査基準日が4月末、契約書の記載が「契約日4/17、工期100日」であった場合、
4月末時点では工事は完了していないことになりますので、完成工事として計上することができません。
※実際には工期が短縮され、審査基準日時点で完成していた場合は追加で裏付け資料が必要です。
★事例4★ 剪定、除雪、調査、点検、電球・部品の交換等、工事以外のものを計上している。
剪定、調査、交換等は、原則、建設工事の請負として認められない為、完成工事高に計上できません。
これらの売上については兼業売上として計上する必要があります。
https://www.pref.saitama.lg.jp/a1002/documents/keishintebiki010606.pdf
(埼玉県 経営事項審査申請の手引き 令和元年6月版 P41)
★事例5★ 技術者の配置が建設業法違反になっている
・現場専任が必要な工事の配置技術者が、営業所の専任技術者を兼務している
・現場専任が必要な工事の技術者が、他の専任が必要な工事の配置技術者を兼務している
・出向者や派遣社員等、配置技術者の条件を満たさない雇用者が配置技術者となっている
⇒これらの場合、原則として配置技術者として認められません。
※現場専任が必要な工事とは・・・「公共性のある工作物に関する重要な工事」
請負金額が税込3500万円以上の工事で、個人住宅を除いたほとんどの建設工事が対象
配置技術者の現場の専任に関する詳細については過去のこちらの記事もご覧ください。
★事例6★ 消費税の確定申告書と矛盾がある
工事経歴書の記載金額の合計と、財務諸表の完成工事高は一致します。
また兼業売上がない場合、完成工事高と消費税確定申告書の課税標準額も通常一致します。
この金額が一致していない場合、完成工事高が誤っている可能性があります。
工事経歴書を提出後に、上記のような事例に気づき、完成工事高の訂正が必要になった場合は、
経営状況分析申請、事業年度終了報告(決算変更届)からやり直すことになり、
その遅れの結果、経審の結果通知書の有効期限が切れてしまうという最悪の事態にも成りかねません。
経審を受けたいけど、工事経歴書を作成するのは大変そう・・・
契約書の精査に不安がある・・・
といった場合には、ぜひご相談ください。
実際の申請を熟知した行政書士ならではの知識でサポートします!