こんにちは!
令和6年12月13日(金)、第三次担い手3法に伴う建設業法や入契法関連の改正が施行されました。
同時に、施行規則や各種通知も改訂されています。
今日は、どこよりもはやく、そして詳しく解説してまいります。
建設産業に携わる皆様はぜひ参考にしてください。
1.改正の概要と仕組み
今回の第三次担い手3法に伴う改正は、5年前の新担い手3法のときと同様、かなり大きな改正でややこしくなっています。
また施行時期がいろいろあり、さらには健康保険被保険者証の新規発行廃止などの件も重なって混迷を極めています。
今一度、整理していきましょう。
●改正の全体像がわかるページ
今回の改正の全体像がわかるページはこちらです。
●施行時期
また、施行時期がわかるのはこちらの6/21通知です。
682315e58f9fbe70f78695f4baf2ef9eこの通知にある通り、建設業法に関して言えば、
令和6年6月14日の公布日をスタートにして、
①3か月以内【令和6年9月1日施行】
②6か月以内【令和6年12月13日施行】
③1年6か月以内【令和7年12月頃施行予定】
の3段階があることがわかります。
今回は、②6か月以内【令和6年12月13日施行】の部分が関係します。
また、これに関連して、「建設業の各種金額要件」に関しても2月1日に改正されることになりました。
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo13_hh_000001_00267.html
2.令和6年12月13日施行分のポイント(一部令和7年2月1日分もある。)
それでは、今回の改正のポイントを見ていきましょう。
たくさんありますが、弊社で厳選して紹介します。
今回の改正はうまく活用すれば、売上向上・企業成長を大いに助けてくれるものになると思います。
(1)監理技術者等の専任義務に係る合理化
まず、法26条で求められる主任技術者・監理技術者の専任義務合理化です。
こちらの図を確認ください。

ポイントは2現場まで1億円(建築一式は2億円)近くの工事が兼任できるようになります。
(2)営業所技術者等の職務の特例
次に法7条2号、15条2号で求められる営業所技術者(専任技術者)の職務特例です。
こちらの図を確認ください。

ポイントはこちらも、1億円(建築一式は2億円)近くの工事について、営業所専任+1現場まで兼任できるようになります。
(3)特定許可金額要件と施工体制台帳提出義務の合理化
こちらの図を確認ください。

まず、特定許可や施工体制台帳作成義務が発生する金額要件が変わること、
次に、施工体制台帳提出義務の省略が条件付きで認められるようになりました。
3.今回の改正の特徴
今回は、今まで1億円近くの現場について、それぞれが現場専任で一人ずつ監理技術者・主任技術者を配置していたところ、1人で2現場まで兼務できるようになります。
つまり、単純計算で行くと、倍近くの現場を契約して回せるようになるということです。
また、営業所に専任しなければならない建設業許可要件でもある営業所技術者も1現場まで1億円近くの工事に出られることになるのです。
今まで、取りたい工事があるものの、社内の技術者不足で断念せざるを得なかったという悔しい思いをされてきた企業様は多数いらっしゃると思います。
そういった悔しい思いから脱却できる改正です。
ただし、この兼務特例ですが、条件があります。たくさんありますが、ほとんどがすぐにでもクリアできる、そして営業活動をしていくうえで、対応できる条件だと思います。
この中で皆様のハードルとなる条件はやはり建設キャリアアップシステム(CCUS)現場運用と思います。CCUSを使って工事現場の施行体制を確認すること、公共工事において発注者(行政機関)に提出していた施工体制台帳を省略できる条件としてCCUS現場運用と発注者支援機能を使った閲覧があります。
つまり、CCUSを自社及び協力会社にて十分に活用できるようになれば、この条件が使えるようになります。
4.具体的な確認方法
それでは、これらの特例条件をどのように確認していくのかについても国から発表がありました。
「人員の配置を示す計画書」(参考様式)(建設業法施行規則17条の2号第1項第5号、17条の5号第1項第5号関係)の「作成・備置き・保存」で業法違反がないかの担保を取っていきます。
「人員の配置を示す計画書」(参考様式)
f469148663b95c25562fc63ec436a8c3-1様式はこちら
この「人員の配置を示す計画書」と、毎年作成する「工事経歴書」の突合、業法違反チェックが今後のポイントになると思います。
5.これまでの特例関係整理【2024.12.18追記】
以下、補足説明として追記いたします。これまでの現場専任特例関係がどうなるのか、です。
(1)特例監理技術者制度(監理技術者補佐)
今回のいわゆる1億円ルールは新設の特例でして、これは【専任特例1号】という名称(監理技術者制度運用マニュアル)となります。
この「1号」というのはどこからきているかというと、改正建設業法26条3項「1号」からきています。
そしてこの改正建設業法26条3項「2号」が従来の監理技術者補佐でして、今後特例監理技術者補佐制度は【専任特例2号】という名称になります。
よって、特例監理技術者制度(監理技術者補佐)は従来通り残ります。
(2)建設業法施行令27条2項の「近接特例」(いわゆる10kmルール)
こちらも、施行令27条2項が残り、かつ、監理技術者制度運用マニュアルの記載も残りますので、従来通りとなります。
念のためこの特例に関する取扱い平成26年2月3日通知も掲載しておきます。
https://www.mlit.go.jp/common/001027237.pdf
(3)特定専門工事における主任技術者省略(建設業法26条の3)
こちらは、条件ルールが煩雑すぎてあまり実務上活躍の機会がない特例でいわゆる鉄筋と型枠のみの特例(令和元年業法改正)であるが、こちらも結論従来通り残ります。ただし、注意が必要なのは当該特定専門工事ルールにおける金額要件(特定専門工事を下請けに回す金額の上限)が4,000万円から4,500万円に令和7年2月1日より引き上げられる点です。
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001850617.pdf
現場専任に関する特例は、正直なところ、ツギハギ状態の改正が続いていますので混迷を極めているといえます。
ご注意いただければと思います。
6.その他改正関連の整理
今回の改正に関連して、各種ガイドライン・マニュアルの改正も一気に行われました。
参考にしてください。
・【改正】12/13施行分建設業法施行規則新旧対照表 https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001851478.pdf
・【改正】12/13施行分入契法施行規則新旧対照表 https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001851479.pdf
・【改正】2/1施行分建設業法施行令新旧対照表 https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001850617.pdf
・【改訂】令和6年12月第11版本下建設業法令遵守ガイドライン https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001765655.pdf
・【改訂】令和6年12月第7版発受建設業法令遵守ガイドライン https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001765656.pdf
・【新設】令和6年12月情報通信技術を活用した建設工事の適正な施工を確保するための基本的な指針
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001851690.pdf
・【改訂】令和6年12月13日監理技術者制度運用マニュアル https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001851643.pdf
・【改訂】令和6年12月13日建設業許可事務ガイドライン https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001581332.pdf
・【改訂】令和6年12月13日国土交通大臣に係る建設業許可及び建設業者としての地位の承継の認可の基準及び標準処理期間について
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000192.html
・【通知】令和6年11月6日健康保険証の廃止に伴う現場作業員の健康保険の加入証明書類について
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001841758.pdf
・【通知】令和6年11月21日建設キャリアアップシステム「健康保険証の廃止に伴う健康保険の加入証明書類につきまして」
https://www.ccus.jp/attachments/show/673e77da-2b5c-4c15-a500-52d6c0a8081b
以上です。いかがでしたか?
今回の改正は、皆様の企業経営において売上向上、成長が著しく可能になる内容となりました。
そのための絶対条件が「建設キャリアアップシステムの現場運用」と「人員の配置を示す計画書」です。この2つを社内でどう対応していくか、検討してみてください。
ご不明点がありましたら、弊社までお問合せください。