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行政書士法人CLA

【認可】どこよりも詳しい事業承継認可制度の解説 シリーズ8(最終回)

こんにちは。

どこよりも詳しい事業承継認可制度の解説、

このシリーズも最終回です。

今日はシリーズ8ということで、話していきたいと思います。

最終回は法人成り!

1. 法人成りと承継認可


承継認可制度の新設に伴い、建設業許可事務ガイドライン等において、

譲渡譲受(事業譲渡)例の一つとして「個人事業主が法人に成り代わる(法人成り)場合」が明記されるなど(建設業許可事務ガイドライン【第17条の2関係】4.(3))、法人成りも当該認可制度を使用し、許可番号を引き継ぐことができることになりました。

2. 法人成りに関するこれまでの取扱い


この承継認可制度が新設される前も、個人事業主が個人事業主の状態で許可を取り、その後従業員を雇用できるだけの規模になったときに法人成りをする事例はもちろん多数ありました。

しかし、事前認可制度がなかったために、個人事業主の許可を廃業届提出・法人設立と法人としての新規申請をする必要があり、どうしても許可申請から許可が出る間の空白期間が生じてしまっていました。

また、個人事業主と法人代表が同一にもかかわらず許可番号が引き継げないことが原則でした(この点は都道府県によっては引き継げるルールで運用していたところもありました)。

今回この事前認可制度ができたことで、スムーズに空白期間を生じさせることなく、許可番号を引き継ぎができ、さらに認可手数料がかからず、あらたに5年間許可期間延長することができるようになりました。

3. 譲渡契約の当事者は発起人?法人?~法人設立時期~


法人成りは、個人事業主が新設法人(代表取締役が従来の個人事業主)に対し、事業主としての財産を譲渡する契約をすることを事前に認可をもらうことで許可承継できるロジックで、事業譲渡(法17条の2第1項)にカテゴライズされています。

この点、譲渡契約の譲渡人が個人事業主であることは間違いないとして、譲受人が新設法人なのか、新設法人発起人なのか、法人設立はどのタイミングですべきかが実務上問題になります。

この点は上の図に申請スケジュールの図を2つ掲げているので、それをご覧になりながらお読みください。

まず、国交省は、建設業許可事務ガイドライン【第17条の2関係】4.(3)において、「当該個人事業主と法人成り後の法人との譲渡契約書を添付」と明記し、譲受人=法人、すなわち認可申請前に法人を設立することを暗示しています。

これにならって、都道府県によっては認可申請前に法人設立をするよう指導するところも多くあります。

しかし、この「先に法人設立パターン」は、法人設立から5日以内に健康保険・介護保険・厚生年金に加入しなければならず、加入するということは健康保険被保険者証が代表者にも発行されるということであるので、認可後の譲渡日(効力発生日)まで有効な個人事業主の許可基準(経営業務管理者の常勤性、専任技術者の専任性)に大きな影響を与えることになってしまうことはおわかりと思います。

この問題に気付いた一部の都道府県は、この「先に法人設立パターン」を認めず、譲受人=設立予定の法人発起人、として譲渡契約を締結した後、認可申請を行い、認可後に法人設立をする「後に法人設立パターン」を指導しているところもあります。

このパターンだと、先の健康保険関係問題、個人事業主の許可基準形骸化問題は解決されますよね。

もっとも、そもそも法人成りにおける財産(特に不動産など)の譲渡自体が利益相反取引として株主総会・取締役会の承認を受けなければならない(会社法356条・365条)と認定されるところ、まだ株主総会等が存在していない時期に発起人と個人事業主の同一人物で契約することが会社法の趣旨を骨抜きにしていないだろうか、という問題 も拭いきれないといえます。

「先に法人設立パターン」も「後に法人設立パターン」も一長一短があり、ここで正解を求めることはなかなか難しいです。

従前の個人事業主の許可基準が効力発生日までどのような扱いとなるか、会社法上の違反はないかといった多角的な観点で、審査する行政機関と事前によく相談し、余裕を持った譲渡契約・法人設立・認可申請を行っていく必要があるといえます。

4.法人成りラッシュ!


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この国交省が毎年公表する「建設業許可業者数調査の結果について」は、国交省が建設業許可業者数等を1年に1度公表しているものですが、最終頁に認可制度の数値結果が出ています。

令和4年度1年間の承継認可件数は、全体が1135件、うち法17条の2合計(相続を除く事業譲渡・合併・分割の3類型)が1055件で、そのうち事業譲渡が961件となっていることがわかると思います。

もちろん法人成りでない譲渡譲受の件数も含まれていることは確かではありますが、圧倒的に法人成りが今回の承継認可制度でメリットを感じ活用されているとも言えます。

法人成りのことでお困り・お悩みがございましたら、弊社までお問い合わせください。

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