【許可】社会保険の加入と一人親方問題
●適切な社会保険の加入と偽装一人親方問題とは
令和2年10月の建設業法改正で、「適切な社会保険に加入していること」が許可要件となりました。
社会保険とは、
・医療保険
・年金保険
・雇用保険
の3種類です。
どんな場合、どの保険に加入することが必要なのか

「国土交通省 社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」における「適切な保険」について」より https://www.mlit.go.jp/common/001242518.pdf
健康保険、厚生年金は法人であれば原則適用事業所となります。
また雇用保険については、一人でも従業員を雇用している場合は法人、個人事業主に関係なく適用事業所となります。
★従業員(常用労働者)が一人以上いる法人の場合
健康保険、厚生年金、雇用保険のいわゆる3保険への加入義務があります。
従業員の保険料については、従業員と法人が折半で負担します。
★一人親方の場合
一人親方の場合は、従業員がいないので雇用保険の加入義務はありません。
また、医療保険は国民健康保険、年金保険は国民年金となり、一人親方自身が保険料の全額を負担します。
この社会保険料の会社負担分を逃れるために、実際には、雇用関係にある技能者を一人親方としている、いわゆる「偽装一人親方」のケースが増えてきているのです。
実態は自社の従業員として工事に従事しているにも関わらず、社会保険に加入させない(会社で保険料を支払わない)為に、技能者を一人親方として、請負契約を結んでいるかのように見せかけているものです。
この場合、本来会社側で負担すべき保険料も、一人親方自身が支払うことになってしまいます。
確かに、社会保険料の負担が大きいことも事実ですが、適切な保険に加入し、従業員の福利厚生を守っていくことは事業者としての努めでもあります。
国土交通省でもこの動きを問題視し、「健康 保険、厚生年金保険、雇用保険の全部又は一部について、適用除外でないにもかかわらず未加入である建設企業は、下請企業として選定しないとの取扱いを徹底すべきである。」ことを「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」に明記し、さらに不正問題への対策を盛り込むため、ガイドラインの改定に乗り出しています。
★参考:「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_fr2_000008.html

詳細はこちらhttps://www.mlit.go.jp/common/001219923.pdf
●許可や経審(経営事項審査)でも適切な保険加入は避けられない
令和2年10月以前に社会保険に未加入だった許可業者も、適切な社会保険に加入していなければ、次回の更新ができないことになります。
また経審(経営事項審査)においても、上記の保険に未加入の場合は、それぞれ40点の減点(最大120点減点)となる等、建設業界への若い担い手の確保、コンプライアンス遵守に対する動きは年々高まっています。
従業員の福利厚生だけでなく、会社の価値や存続を守っていくためにも、正しい保険に加入することが重要です。
また自社の下請に一人親方がいる事業者の方も、適切な社会保険の加入が行われているか、下請業者の状況を把握することが大切です。
CLA川﨑行政書士事務所は、建設業の許可、経審(経営事項審査)、入札を専門に取り扱っています。
確かな法律知識と平易な言葉でわかりやすく伝えることを大切にしています。
ぜひお気軽にお問い合わせください。