埼玉県さいたま市大宮区 | 許可・経審・入札の専門事務所

行政書士法人CLA

許可と経審と入札を一体化して考えることが大切です

建設業は、許可制度・経審制度・入札制度のそれぞれの歴史が古く、制度そのものが大変細かく整えられています。

その点、他の許認可手続きよりもロジカルで明快ではありますが、各制度について詳しいだけでなく一体的・横断的な、実務知識がないとうまくいきません。

今日はその例をケースごとに紹介してみたいと思います。

1.地方から都会への進出


一般的に地方は公共工事を頼りにする建設業者が多く、したがって、地方であればあるほど経審業者・入札業者の割合が増えるといっても過言ではありません。

ということは、ライバルも多いわけで、視点を変えて、都会に営業所を新設し(入札の主観点アップ)、入札参加する地方公共団体を変えることも戦略としてはあると思います。

この場合、その「都会」が他県にまたがる場合、建設業許可の許可換え新規申請が必要となります。

この許可換え新規申請で大臣許可になった後、経審を受審し、入札参加資格申請をすることで 主観点アップが可能となります。

入札の前に許可を整理しましょう。

2.発注先の発注業種


本来ならば工事の内容によって、建設業許可における「業種」が全国画一的に判断されなければなりませんが、建設業許可を管轄する部署(埼玉県でいうと県土整備部建設管理課)と入札を管轄する部署(埼玉県でいうと総務部入札審査課や各市町村)が異なることもあり、発注する工事に必要な業種(発注業種)に「ズレ」が生じていることも多々あります。

つまり、狙いたい工事について、その発注機関(市町村や都道府県)が、どんな条件で発注しているか=入札に必要が許可業種・経審受審業種は何かを入念に確認する必要があります。

この確認を踏まえて、場合によっては建設業許可の業種追加申請をし、その追加業種について経審を受審しないと狙いたい工事がいつまでも取れないことになります。

入札の前に許可と経審を整理しましょう。

3.業種追加における専任技術者と経審における技術職員


例えば、9月決算の会社が、今までとび土の許可を有し、とび土の経審を受審していたとします。

この会社が4月1日付で1級土木施工管理技士の合格者を雇用し、この方を専任技術者として土木と舗装の業種追加をした場合、業種追加直後の経審では、この専任技術者を技術職員名簿に掲載することはできません。

経審の技術職員は「審査基準日以前に6か月を超える常勤的雇用関係にある技術職員」だからです。

そうすると、このときにP点は1級合格者が反映されない点数となりますので、この経審結果通知書を元に入札参加資格申請をすると、格付基礎点で不利となります。

定期受付であれば2年間の格付が決まるので、なおさらです。

技術職員の雇用日をよく検討することはもちろん、どの経審結果通知書を使うか、入札参加資格申請をする適切な時期は今なのか、1年先なのか、会社の状況と相談しながら、判断する必要があります。

経審を見据えた許可の整理をしましょう。

4.経審積み上げと実務経験技術職員


経審では、例えばとび土や舗装の実績を土木に積み上げ、土木のP点を上げる「積み上げ」制度があります。こうすることで、土木一式の格付を上げることができるテクニックです。

この場合、積み上げたとび土や舗装については経審受審ができない=入札参加ができないことになります。

例えば、今までとび土の許可を有し、とび土の経審を受審していたとします。この経審において「技術職員」はとび土実務経験10年の技術者のみだった場合において、この会社が土木の業種追加をし、土木の経審を受審する際にとび土の実績を積み上げることは、良くあります。

もっとも、ここで、とび土を積み上げてしまうと、これまで技術職員だった、とび土実務経験10年の技術者は、とび土が経審受審できない関係で技術職員名簿に掲載できなくなる場合がでてきます。また、先ほど3で述べたように土木の専任技術者が、「審査基準日以前に6か月を超える常勤的雇用関係にある技術職員」に該当しなかった場合は、技術職員0ということもあり得ることになってしまいます。

土木のP点を上げるために積み上げ制度を利用したのに、技術力(Z点)が下がり、P点が上がらない事象といえます。積み上げる時期が適切かどうかを慎重に見極める必要があります。

入札を見据えた経審対策をしましょう。

5.特定許可と営業所


会社がどんどん成長し、請負金額も大きくなってきて、下請に4000万円以上(建築一式は6000万円以上)回す場合は、特定許可を取得しなければなりません(般・特新規申請)

例えば、埼玉県に本店があり、東京都と千葉県に支店がある会社において、土木の一般許可があり、経審を受審し、入札で受注してる場合、会社が成長し、格付が上がって発注請負金額が大きくなり、下請に4000万円以上(建築一式は6000万円以上)回さざるを得なくなってきた場合に1級資格者が「各営業所」にいないと特定許可を取得することはできず、当然入札することはできません。

この点、本店である埼玉県の営業所のみに1級がいたとしてもNGです。

特定許可を取りたい業種について、建設業許可上登録している全ての営業所ごとに1級の専任技術者を配置しなければならないからです。

売上増大と技術者養成をバランス良く!が肝要となります。

入札を見据えた許可対策をしましょう。

このように、「許可・経審・入札」はそれぞれの関連性を考慮しながら、矛盾のないように手続を進めなければ、せっかくの資格や実績を反映できず、狙った経営戦略が実行できない、ということにもなりかねません。

当事務所では、許可・経審・入札の手続を一括して行うことで、それぞれの関連する手続や期限管理までご対応が可能です。ぜひご相談ください。

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