【許可・経審・CCUS】建設業と社会保険の関係 シリーズ4~健康保険編~
こんにちは。
建設業において、社会保険の加入に関することは、建設業許可、経審、CCUS(建設キャリアアップシステム)など、様々な場面で登場しますが、実はよく理解できていない・・・という声も耳にします。
このシリーズでは、建設業と社会保険の関係について解説していきたいと思います。
今日は、「健康保険」編です!
●建設業許可と年金保険
まず、建設業許可の要件として、
適切な社会保険に加入していること(法第7条第1号、規則第7条第2号)
が定められています。
この「適切な保険」とは、雇用保険、医療保険、年金保険の3つがあります。
今回はこの中の医療保険(健康保険)についてです。
まずは、下記の図をご覧ください。
※「国土交通省 社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」における「適切な保険」について
赤枠で囲まれた部分が、加入義務がある健康保険の種類です。
まず、健康保険の種類の違いについて、見ていきたいと思います。
●健康保険の種類( 法人の場合 )
法人(常用労働者が5人以上の個人事業主を含む)の場合は、AまたはBのどちらかに加入します。
A.協会けんぽ
法人の場合、通常は「協会けんぽ」に加入します。
健康保険証の保険者名称に「全国健康保険協会○○支部」と記載されている場合は、協会けんぽに加入していることになります。下記の2のような独自の健康保険組合などを持たない事業所の場合は、この協会けんぽに加入します。
B.健康保険組合
健康保険組合とは、 常時700人以上の従業員がいる事業所や同種・同業で3,000人以上従業員が集まる事業所が、厚生労働大臣の認可を得て設立することができる公法人です。組合健保などと呼ばれます。
大企業などによく見られ、保険料率を範囲内で独自に設定できたり、保険料の従業員負担を減らすことが出来ます。(通常は従業員と雇用主が折半)
●健康保険の種類(個人事業主の場合)
個人事業主の場合は、通常、国民健康保険に加入します。
C.国民健康保険
国民健康保険は、市町村などが運営する健康保険です。(市町村国保)
日本では、すべての国民が必ず何らかの公的な医療保険に加入することになっています(国民皆保険制度) 。個人事業主の場合は、法人が加入する協会けんぽや健康保険組合ではなく、個人として国民健康保険に加入します。保険証の交付者には○○市などお住いの市町村が記載されます。
●健康保険の種類(例外:適用除外)
D.国民健康保険組合
国民健康保険組合は、国民健康保険の一種で、 同種の事業・業務の従事者を組合員として組織される組合です。建設業関係だと、土建国保、建設国保などがあります。
Bの健康保険組合と紛らわしいのですが、こちらはあくまでも「国民健康保険」の一種なので、個人が加入するものです。
★例外(適用除外)
法人の場合、「協会けんぽ」または「健康保険組合」に加入義務があり、そこで勤務する従業員も必然的に「協会けんぽ」または「健康保険組合」に加入し、建設国保などの「国民健康保険組合」に加入することは出来ません。
ただし管轄の年金事務所で、適用除外承認を受けた場合は、例外として国民健康保険組合に加入することが出来ます。建設業許可でも、この適用除外を受けている場合は、適切な保険に加入しているものとして認められます。
●健康保険の確認書類のポイント
では、建設業許可や経審で、実際にどのような書類で健康保険への加入を確認するのか見ていきましょう。
★建設業許可・経審の健康保険の確認資料
例えば、埼玉県の建設業許可申請・経審では、健康保険の加入は、下記のような書類で確認します。
※建設業許可では直近のもの、経審では審査基準日を含む月分を提出。
協会けんぽ
年金事務所発行の保険料納入告知額・領収済額通知書等
健康保険組合
健康保険組合発行の保険料領収証書等
国民健康保険組合
年金事務所発行の保険料納入告知額・領収済額通知書等 (健康保険料は0円記載)
また、建設業許可の専任技術者や経営業務の管理責任者の常勤性確認書類として健康保険証を提出する際、保険証に記載された事業所名で所属を確認しますが、健康保険組合や、国民健康保険組合発行の保険証には事業所名が記載されていない場合もあるので注意が必要です。
健康保険については、年金や雇用保険と違っていくつか種類があるので、少しややこしいですが、入るべき保険、提出すべき確認資料をしっかり把握しましょう。建設業許可や経審でお悩みの方は、ぜひご相談ください。