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CLA川﨑行政書士事務所

【許可】出向役員・出向社員のあれこれ その3

★出向社員の取り扱いその3

こんにちは。3週にわたって「出向」を深掘りしています。

今日は3回シリーズの最終回!

最終回の今日は出向条件と許可審査実務についてです。

1. 前週までのおさらい


出向役員・社員を経管・専技にすることはできるが、その常勤性・専任性の確認で、通常よりも多くの提出書類が発生する。

①健康保険証

(多くの場合所属事業者が出向元のままなのでこれだけでは出向先(申請者)で定額給与をもらっている証明にならない)

②出向契約書

出向者名、出向期間、出向条件が書いてあるもの。→出向料の負担がどちらか、人事権の責任はどちらか等が書いていないとダメ。

③入金記録

東京は3ヶ月、埼玉は1ヶ月。入金までされていることの裏付け。

2. 出向元・出向先でどちらが出向料を負担しているかが影響するか。


そもそも出向は、親会社→子会社の役員・社員へと出向することが多いですが、近年は、人事権を出向元管理として残しながらも、給与(出向料)は事実上出向先子会社負担ということが実務上多くなっています。

建設業許可では、常勤性・専任性=申請会社が負担して定額給与をもらっていることが基本ですから、出向先子会社負担であれば、全く問題ありません。

稀に、出向料について、出向元親会社負担の場合があります。これだと、人事権も給与負担も親会社となり、子会社は何の責任も負担もありません。子会社=建設業許可申請者として、建設業の許可要件である経管・専技を常勤・専任させていると言えるかが問題になります。

この点、経管の方が常勤ということで専任性よりも緩い、つまり毎日通っていればいいじゃないか、となりそうですが、毎日通って何もしなくていい、「全て親会社の言いなり」という人間がはたして経営業務管理責任者として必要な建設業の経営をしていると言えるのだろうかという、「趣旨逸脱」論から考えても、出向元親会社負担は常勤性・専任性を認めるのにダメな方向に働きます。

もっとも、出向元親会社が給与等を払っていたとしても、毎月「出向費用相当額」という名目で子会社から親会社に払っているケースもよくあります。

お金の流れとしては、出向先子会社→出向元親会社→出向社員ですね。

これだと、事実上出向先子会社が負担していますのでOKです。

平たく言ってしまえば、人事権を出向元に取られている中、出向料くらいは自分で負担しないと、責任ある業務遂行ができないのではないですか、その状態で経営業務管理責任者、専任技術者としての職務が遂行できるのですか、ということです。

3.出向費用負担割合


2に関連して、出向元(親)と出向先(子)でそれぞれ何割ずつ負担しているがそれはいいか、とか何割までならいいか、という議論を度々目にします。

例えば、出向元(親)が2割、出向先(子:申請者)が8割ならいいか、などです。

これに関しては確かに昔は各行政庁でこういった割合による取り扱いをしていたことがあり、埼玉県でも「内規」で出向元(親):出向先(子)が1:9、2:8までならいい。3:7はどうだろう・・・みたいな議論があったようです。

ただ、現在ではそれは撤廃されています。負担割合が何割までならいいという議論はナンセンスであって、その者が申請者(出向先)で経管・専技にふさわしい業務を行っているかどうかには全く関係ないからです。

最近の多くの出向は負担割合が0:10であり、本当に少なくなりましたが、仮にこういった事例が出てきたら、負担割合で勝負するのではなく、人事権の実態や、実際に常勤しているかを他の角度から証明する、例えば、ETC履歴や定期券、タイムカード、出勤簿、経管であれば取締役であるので稟議書承認書(これが毎日仕事しているだけの量があるなど)等で補強証拠として提示していくことで常勤性・専任性を証明していく方法もあるのだと思います。

建設業許可における経営業務管理責任者や専任技術者の要件において「常勤性」「専任性」とは、文字通り毎日通っているかどうか、毎日通って専ら職務に従事しているかどうかということです。

究極の証明方法は、監視カメラを部屋につけて、24時間365日部屋を撮影することだと思いますが現実的ではありませんよね(笑)。

だからこそ、行政庁は、多くの申請者がこれがあれば常勤・専任していると強く推認できる最大公約数的な手っ取り早い資料として、健康保険被保険者証を要求しています。

それが「出向」であったとしても基本的な考えは変わりません。

・申請会社において経営業務管理責任者・専任技術者としての職務を遂行できているか

・出向元の顔色ばかりうかがう出向契約(人事権管理・出向料負担割合)で常勤性・専任性に疑義が生じることはないだろうか

・仮に疑義が生じるような出向契約であっても何か特別な事情があってそうなっているだけであって、常勤性・専任性を別の角度から十分に証明することができるのかどうか

・この「出向」によって就任した経営業務管理責任者・専任技術者がいることで建設業法の趣旨である「発注者の保護」に影響はでないだろうか

このような視点を使って申請準備をしていくことが求められるのではないでしょうか。

全3回にわたって「出向」というテーマをシリーズでお届けしました。

いかがでしたでしょうか。

読んでいただいた皆様にとって少しでも役立つ情報となっていれば幸いです。

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