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CLA川﨑行政書士事務所

【許可】出向役員・出向社員のあれこれ その2

こんにちは。

先週より、建設業許可を中心にしばしば問題となる「出向役員」「出向社員」について整理しています。

今日は3回シリーズの第2回!

配置技術者(主任技術者・監理技術者)と出向の関係について深掘りしたいと思います。

1.前提


そもそも配置技術者とはなんでしょうか。建設業法には以下の通り定められています。

26条1項 

建設業者は、その請け負つた建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かなければならない。

26条2項

発注者から直接建設工事を請け負つた特定建設業者は、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が第三条第一項第二号の政令で定める金額以上になる場合においては、前項の規定にかかわらず、当該建設工事に関し第十五条第二号イ、ロ又はハに該当する者(当該建設工事に係る建設業が指定建設業である場合にあつては、同号イに該当する者又は同号ハの規定により国土交通大臣が同号イに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者)で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「監理技術者」という。)を置かなければならない。

建設業者=建設業許可業者(法2条3項)ですから、許可業者は、主任技術者を配置しなければならないし、下請業者に回す金額(法3条1項2号の政令=建設業法施行令2条:4,000万円、ただし建築一式は6,000万円)以上になる場合は監理技術者を配置しなければなりません。

この「主任技術者」、「配置技術者」を便宜上まとめて配置技術者と呼びます。

配置技術者が一番身近になるのは、「工事経歴書」だと思います。

https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/44992/dai2gou.pdf

こちら、毎年の決算変更届(事業年度終了報告)では必ず配置技術者を記入する必要があります。

この配置技術者、実際に配置しているかどうかについて世間では誤解も多いところであり、しばしば社会問題化します。

つい先週も、大手のある会社が配置技術者を配置していなかった件数が12年で2万件超と報道がありました。この配置技術者ルールについては、時期を改めて、追って深掘り解説したいと思います。

2. 配置技術者ルール


それでは、配置技術者にはどのようなルールがあるのでしょうか。

資格や雇用関係、現場専任など、様々なルールが詳細に定められていますが、今日は「出向」の前提となる雇用関係の側面から配置技術者ルールを解説します。

配置技術者の根拠は全てこの「監理技術者制度運用マニュアル」に記載されています。

https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo13_hh_000001_00005.html

本文はこちら

一番わかりやすくまとめていただいているのが近畿地方整備局さんの「建設業法に基づく適正な施工体制と配置技術者」です。

https://www.kkr.mlit.go.jp/kensei/kensetugyo/

これらにあるとおり、配置技術者の雇用関係には、以下の2条件が付されています。

①直接的な雇用関係

配置技術者と所属会社が直接的に雇用関係にあること(第三者に介入する余地がない)。

→健康保険被保険者証や住民税特別徴収税額通知書等で確認。

②恒常的な雇用関係

一定の期間にわたり当該建設業者に勤務し、日々一定時間以上職務に従事することが担保されていること

→特に公共工事の元請業者は発注者から直接請け負う建設業者の専任の主任技術者、専任の監理技術者、特例監理技術者又は監理技術者補佐に所属建設業者から入札の申込のあった日(指名競争に付す場合であって入札の申込を伴わないものにあっては入札の執行日、随意契約による場合にあっては見積書の提出のあった日)以前に三ヶ月以上の雇用関係にあることが必要。

この「直接的かつ恒常的な雇用関係」が出向を考える上で重要になります。

3.「出向」と配置技術者ルール


先週の解説通り、経営業務管理責任者・専任技術者は、出向役員・出向社員でもなることができます。

それでは、今日のテーマである配置技術者(主任技術者・監理技術者)は、出向役員・出向社員ではどうでしょうか。結論から言うと、なれません。

上記監理技術者制度運用マニュアルの8枚目にもしっかりと明記されていますが、「直接的な雇用関係」とは言えないというのが理由です。

4.実務上の落とし穴


これが問題になるのが工事経歴書の配置技術者欄です。

特に経審・入札においては最新の注意が必要になります。

・出向者が主任技術者としての資格を取得していたとしても、配置技術者欄にあったら、これは一発で業法違反となります。

・出向者は専任技術者になれます。ただ、主任技術者になれません。

 専任技術者が配置技術者になれる特例(4要件:近接性・常時連絡体制・所属営業所で契約・3500万未満)があったとしても配置技術者欄に書いたら業法違反です。

・出向社員でなくても、自分の会社で普通に社員を新しく雇い、その者が1級資格者だからといって、公共工事元請ですぐに主任技術者にしてしまう(3ヶ月経っていない)のは業法違反です。これは、新社員の健康保険被保険者証で入社日を確認し、該当工事の工期(始期)と3ヶ月空いているかでチェックします。

いかがでしょうか。

建設業法違反は許可の取消しや刑事罰につながります。しかし、建設業法のうち、建設業許可そのものに関わる経営業務管理責任者や専任技術者に関しては様々な情報、行政書士事務所の情報であふれていますが、許可を取得した後の注意事項はあまり情報が出回っていません。

配置技術者ルールは正にこの「許可を取得した後の注意事項」なのです。前述の大手会社による配置技術者非配置事件も正にココなのです。

今一度、自社の運用を調べ直してみてください。もしご心配であれば、弊所にお問い合わせください。

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